王冠王冠

「クリスマスプレゼントですか?」
閉店直前にも関わらず、靴屋の店長は嫌な顔一つ見せず、丁寧にラッピングを施しながら
そう尋ねる店長にリクは笑顔でうなずいた。
「実を言うと、彼女が喜んでくれるかはわからないんです。もっと無難なものにした方が
よかったかもって今も後悔してるくらいで。あ、すいません。この靴がどうのとかってわけじゃなくって!
えぇと、俺から見ても綺麗だなって思うし。その、、、彼女がこれと似た靴にあんまり思い出したくないような
過去があるみたいで。でも、俺、思ったんです。
過去は消えないけど、新しい未来ならいくらでも作れるって。だから、彼女がこの靴を履いてくれるかどうかは
わからないけど、彼女と新しい未来を作りたいって意味で贈りたいなって。」
言葉を選びながらそう口にするリクの言葉を静かに頷きながら聞いていた店主は包装を終えた
プレゼントの箱を渡すと「きっと、あなたの気持ちは通じると思いますよ。そんなに、考えて選んでくれたのだから。」
と言い、店の外へと彼を送り出した。凍てつく寒さに輝きを増すイルミネーションの通りは、
恋人達や家族連れで賑わっていた。そんな人ごみに紛れながら、帰路につくリクの頭上に白いものが
舞ってきた。「ホワイトクリスマスだ。」
どこかからそんな声が聞こえてくる通りを彼は、足早に歩きぬける。
早くレイラに会いたい。
一分、一秒でも早く。

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