王冠第五部王冠
第一章

王冠『その傾斜具合が僕の心配を増幅させた』王冠


手渡された週刊誌の見出しに書かれた熱愛発覚の文字にリクは小さくため息をついた。
「ちぇっ。いいよなーキワ君は。結局、あの時だって直前でもみ消したし。」
せめてもの反抗とばかりに斜め向かいに座るキワ君まで雑誌を投げたのだったが、それすらも途中で
響に取られてしまう始末。少しの反抗も許されないなんてと口をとがらすリクに向かって、
読んでいた海外雑誌から顔をあげたキワ君は魅惑の笑みを浮かべながら言った。
「リク、それもフロントマンの役目だよ。それに今時いないよ?デビュー前から支えあった二人、
例え周囲に反対されても一途な愛を貫く、なんて。」
「え、そ、そうかな、、、、。」周囲に反対されたことなんてあったっけと思いつつリクは律儀に答えた。
「なぁ、これって、この前の打ち上げの時のじゃないか?あん時って確か、関係者しかいなかったんじゃ。」
そう一人呟く響の言葉は上から被さるように発言されたキワ君の声でリクの耳に届くことはなかった。
「ほら、写真映りも二人ともばっちりだし。美男美女って感じで。作家にバンドマンなんて、そうそうないしね。
物は捉えようで、これで"Kein"の宣伝にもなるんだから。さすがリクだよ。それともなにかな、リクは
バンドの宣伝になることが嫌、とか?」
「そ、そんなことないけど。」
そう言われてしまうと嫌と言えないのが自分でも情けない。
「えー、じゃあ、何が不満なのかな。あー、そうか、彼女とのことがばれたら、後ろめたいことがあるとか。
うーん、どこかに隠し子がいるとか。」
「そんなことないっ!」リクが思わず叫ぶと、キワ君は待ってましたと言わんばかりの笑顔でリクに「よかったね。」
と声をかける始末。それ以上ぐうの音もでないリクを見て、満足気にほほえむキワ君の後ろで響がため息をついた。
「リクの彼女って、前にライブに来てくれてた子だよね?へー、作家だったんだぁ。
うわぁ、俺、めちゃくちゃ写ってるじゃん!
ね、これって全国で出るんだよね。家の田舎でも売られるかなぁ?あー、でもこの時の髪型、
俺、あんましいけてないんだよなぁ。リク、写真て差し変えできるかな?」
能天気に言うシンを横目でうらめしげに見ながら、リクはどうレイラに説明するか頭を抱え込んだ。

いっそのこと黙っていようかな。レイラも最近、書くのにいそがしそうだし。余計なことは伝えない方がいいよね。
どうせ、今日も帰れないだろうし。そう無理矢理、結論づけたリクは呼びに来たスタッフと共に部屋を後にした。

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