僕らは常に一緒にいた。
まるで、一時でも会えなかったら壊れてしまう恋人のように。
同じ時間を共有し、同じ思考回路で同じ空間に生き続ける。
それが、当たり前。少なくとも僕にとっては。

ねぇ、アリス。
君はいつから僕と違う思考回路を持ったのかい?
僕が永遠に掴むことのできなかった羽根で空高く飛んで行った、、、
君へ捧げる。

アイコン蝶(青)

連日までの雨が嘘のように、澄み切った青空が果てしなく広がっていた。
窓ガラス越しに見上げた空は、あの日と似ていた。
今、射し込む光は影を一つだけ映し出している。
マグカップ片手に僕はそれを見ていた。
どうして、影は一つなのだろう。
さっきから考えているのは、そのことばかり。
その理由を僕は知っているはずなのに、頭がぼうっとしてうまく思い出せない。

そう、あの日は青空が綺麗だったんだ。
全ての始まりの日。僕らが、まだ僕らであることに何の疑問も持たなかった日。
僕は思い出さなくちゃいけない。
なぜ、今、僕の隣に君がいないかを。

アイコン蝶(赤)

あの日は何気なくやってきた。
何かが起こる予兆なんてこれっぽっちもなくて。
(この村は、平和であることだけが取り柄だ。)
だから、僕はその知らせにも、あぁ、そうなんだぐらいにしか興味を示さなかった。

街に移動式サァカスが来た。いつもとは違うサァカス集団だけれど、そこに大差はないよ。
そうだね、パレェドの日ぐらいは見に行こうか。
僕とアリスはそれだけでこの会話を終わりにした。
今日の朝食では、お祖父様へのお見舞いの品について決めることの方が、はるかに大切だったから。

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